2010参議院選挙雑感

2010年参議院選挙が終わりました。与党の大敗で終わりましたが、その原因を探りたいと思います。


まず、全体を眺めると、民主党国民新党新党改革の惨敗、共産党社民党の敗北、自民党の勝利、みんなの党の躍進というところです。
選挙対策的スタンドプレーに熱心だった党が逆に敗北するという皮肉な結果になっています。


政策的に見ていくと、予想に反し消費税増税は争点にならなかったようです。確かに消費税増税を主張した民主党が敗北し、増税反対だったみんなの党が躍進していますが、自民党も消費税増税を主張しながら勝利し、消費税反対の共産、社民が敗北しています。国民は仮に消費税増税に反対でも日米安保体制を軽視ないし無視する社民や共産に期待するほど愚かではないということなのでしょう。この点は意外でした。


消費税よりもむしろ公務員との関係が争点になったのかもしれません。みんなの党は不十分ながら公務員制度改革を主張していましたし、自民党小泉政権時代の実績があります。小泉進次郎を前面に押し出したことで小泉政権時代を思い出した人が自民党に多く投票したのではないかと思います。


それに対して、法務官僚や検察に何も言えず言いなりになった千葉景子法務大臣は現役大臣でありながら落選しています。国民は取り調べの可視化を強く求めていましたが、千葉大臣自ら消極的な姿勢を示しました。千葉大臣は死刑執行を含め全く仕事をしなかったと言ってよいでしょう。落選は当然です。


タレント候補の落選が相次いだのも特徴的でした。岡部まり桂きん枝原田大二郎、池谷幸雄など、これまでなら真っ先に当選したであろう候補が軒並み落選しています。タレント候補はどうせ何もできないということに気付いたのでしょう。今後の候補擁立に大きな影響があるのではないかと思います。


こうみると日本国民は随分成熟してきたなと思うのでした。おかしなブームに乗るのではなく、単なる知名度だけの候補でもなく、現実的な妥協のできる政治家を求めているということでしょう。そして、何よりも霞が関の改革、官僚制度の改革を求めているというのがはっきりとしたように思います。


菅直人首相は続投を表明しましたが、これほどイメージの悪い政権と運命を共にする者はいません。政権維持は困難でしょう。内閣改造さえ困難かもしれませんし、仮に改造しても法案を通すことは不可能です。みんなの党たちあがれ日本を足せばかろうじて過半数を超えますが、みんなの党菅直人首相の民主党と連立を組むことはないでしょう。菅直人首相が参議院過半数を確保することは困難です。


そうすると、民主党が政権を維持するためには、新たに別の代表を立て、霞が関改革、公務員改革を主張してみんなの党たちあがれ日本と連立を組むしかありません。
それができるのは岡田克也大臣か前原誠司大臣くらいでしょう。アメリカは岡田大臣を信頼しているし、外交の継続という意味でも後継総理は岡田大臣がベストではないかと思います。


今、民主党は岐路に立たされています。ここで失敗すれば二度と国民の支持を得ることはできないのではないかと思います。


最後に、タブロイド的関心として幸福実現党の話をしておきましょう。幸福実現党はご存じのとおり宗教団体である幸福の科学を母体とする政党(ただし政党助成法上は政党ではない)です。比例代表では、開票率95%時点で219,088票でした。公明党が7,388,723票ですので、その差は歴然です。さらに、興味深いのは昨年の衆議院議員選挙では比例区で459,378票だったのでおよそ半減している点です。相当無理していることが見えてきます。
かつて大川隆法の本がバカ売れして書籍売り上げランキングを占拠していたのは、噂通り信者が大人買いしていたからなのでしょうが、その程度ならまだしも、勝ち目のない選挙にまで動員されるのでは信者も離れるということなのでしょう。いろろな意味で安心しましたが、オウム真理教のように過激派にならなければ良いのですが・・・。