コーラと貨幣価値

私は、世界中を旅すると必ずコーラを買います。別にコーラが好きなわけではありません。コーラはどこへいっても売っていて、中身がほとんど同じで、このような商品は他にあまりないからです。
コカコーラの地域とペプシコーラの地域がありますが、どちらでも構いません。コーラを買うのは、その国の貨幣価値を体感するためです*1
貨幣価値は毎日相場で変動しているから相場を見ればわかるのですが、数値だけだといまいち実感しにくい部分があります。しかし、コーラを飲むのに日本円や米ドルでいくらかかったのかを体験すれば貨幣価値が実感できます。頭でいくら考えても分からなくなるので、体で感じるのが一番です。


本当は現地で買って飲むのが一番良いのですが、今回はブログエントリーなので机上で計算してみます。500mlくらいのペットボトルで考えると、日本では150円くらい*2アメリカだと1.5ドルくらい、ヨーロッパだと1.5ユーロくらいです。中国だと4元くらい、インドだと25ルピーくらいです。今日のレートで米ドルに計算し直すと、日本は1.72ドルくらい、ヨーロッパは1.87ドルくらい、中国は59セントくらい、インドだと53セントくらいです。


コーラは世界中でほとんど同じです。原材料はほとんど水と砂糖ですが、価格に最も影響を与えているのはロイヤリティです。ロイヤリティはおそらく米ドル建てで、先進国ではほとんど同じだろうと思われますが、発展途上国はいくぶん安いのではないかと思われます。その他、人件費や消費税率などにも違いはあります。


しかし、細かい差異はこの際無視してざっくり考えてみます。いろいろな要素が絡み合っている訳ですが、ある程度成熟した社会ではコーラのようにとても単純な製品であればほとんど同じ値段になるはずです*3
私は、コーラは経済がある程度まで発展するとおよそ1.5ドル程度になるように計算されていると考えています。そのため、コーラの値段で貨幣価値を見てみると、現時点ではかなりドルが安く日本円やユーロは高いのではないかと思っています。また、中国やインドが仮に先進国くらいまで経済発展すると予測するならば、人民元やインドルピーはまだまだ安く、かなり成長の余力があるのではないかと思います。
ただ、気をつけなければならないのは、発展途上国の場合には予測不可能な事態が起きることもあります。そのため、人民元やインドルピーがあと3倍程度になると単純に考えるのは危ないと思います。しかし、それに近いところまで成長する余力があるのではないかと思います。


これは厳密な経済予測ではなく、コーラを飲んで実感できる程度のものでしかありません。人によっては迷信の類と受け取るかもしれません。でも私は、シンクタンクのようなところにいる専門家の出した経済予測よりも、グローバル企業が足を使って作った数字の方が当たるものだと思っています。少なくともユーロの下落は当たりました。ユーロは米ドルと比べるとまだ高いですから長期的にはもう少し下げるかもしれません*4

*1:世界の一部の国では最も安心して飲めるのは炭酸の入っているコーラだという場合もありますが・・・。

*2:近年、コーラが日本で値下がりしている点は今回は度外視しますが、デフレの兆候であることは間違いないと思います。

*3:厳密には、同じ値段になるようにコカコーラやペプシに雇われている専門家が必死に計算しているはずです。特にコカコーラは売り上げのほとんどをアメリカ以外の国での売り上げに依存しています。そのため、デリバティブタックスヘイブンを最大限に駆使して利益を最大化しています。飲料水メーカーというよりもまるで投資銀行です。私はコーラを飲んで彼らの作り出した成果にタダ乗りしているだけです。

*4:あくまで、経済状況が平時であることが前提です。日本国債がデフォルトするような事態になれば話はまた別です。