国が増税の前にやらなければならないこと

日本の財政が破たん寸前であることは衆目一致しています。財政破たんを避けるには、長期的には増税しかないこともほとんどの国民は理解しています。しかし、現状で増税を主張しても、国民は納得しません。では、どうすれば国民は増税に納得するのでしょうか。少し考えてみたいと思います。


財務省出身で中央大学教授の森信教授はダイヤモンドオンラインの「10年ぶりに封印を解かれた税制改革論議 焦点は公平と効率をいかに両立させるかだ」という記事で以下のように主張されています。財務省の公式見解と考えても間違いないでしょう。

 政府は国民に、医療・年金・介護・少子化対策充実サービスの具体的内容を提示して、国民に、そのようなサービスであれば、追加的に3%の消費税を負担してもよい、もっと充実させた案ならば5%で買ってもよい、と納得を迫ることである。政府は賢明なPRと購入に向けての説得が必要になる。

たしかに、国民が福祉をいくらで買うかという視点は必要でしょう。それはそれとして一応理解できますが、その前にやらなければならないことを忘れてはいけません。財政を破綻させた自分たちの責任を棚上げして「増税に反対するなら福祉を切るぞ」と恐喝じみたことを言っても国民は納得しません。


国や自治体が増税するというのは、民間会社が金融機関などに債権放棄してもらうのと同じだということです。増税しなければならない状態とはつまり経営破たん状態なのです。経営責任をきちんと示し、二度と同じ状態にならないようにリストラをしてもらわなければいけません。
増税の前に財政破たんの責任を示す必要がありますし、二度と財政破たんしないように大胆なリストラが不可欠です。国会議員や公務員が自分たちを絶対に安全な場所においておきながら国民に負担を強いるなど、許される話ではありません。


国の経営責任はどこにある
まず、国の経営責任は、一義的には内閣にありますが、内閣は国会の信任によりますので、国会が責任を取らなければなりません。国会議員の削減(1/2程度)と報酬の削減(3割カット)は不可欠です。議員宿舎などの不要な資産の売却も必要ですし、政治資金収支報告書への領収書の添付義務付けも必要です。徹底したコスト削減と透明化があって初めて財政破たんの責任を明確にしたと言えるでしょう。
次に、高級官僚にも責任を取ってもらう必要があります。実際に行政を動かしているのは高級官僚ですから、彼らに責任を取ってもらわなければ国民は納得しません。事務次官クラスは全員やめていただき、局長クラス以下、官僚は全員、一律給与を3割くらいカットすべきです。公務員の新規採用停止、3割程度の早期退職も必要ですし、天下りの全廃は当然です。さらには、公務員制度改革として公務員の任期制も採用すべきです。生涯公務員などという制度は時代錯誤ですから廃止すべきです。


徹底したリストラ
事業仕分けのようなちまちました経費削減では国民は納得しません。各省庁の予算を単純にすべて3割くらいカットしなければいけません。全部平等に3割カットです。誰も文句を言えない状態でやらねばなりません。
公共事業も年金も生活保護も医療費も科学技術開発も大学や地方自治体への補助金も何もかもすべて単純に3割カットです。例外は絶対に許してはいけません。今まで税金でおいしい思いをしてきた人たちすべてに少しずつ責任を取ってもらう必要があります。
特殊法人は基本的に民営化です。民営化になじまないものは別組織にすると陰で勝手なことをやり始めるのですべて国にすべきです。国にして公務員と同様に徹底的なリストラをすべきです。



このような徹底的なリストラをして、逆さにしてひっくり返しても小銭さえ出てこない状態にして、初めて増税に対する理解が得られるのです。今など、国会議員や公務員はまだまだ肥満体質でポケットに札束が入っている状態です。増税など、冗談ではありません。
このことに政治家や官僚は早く気付いて頂きたいですが、おそらく無理でしょう。財政が本当に破たんして徹底したリストラをしなければならない状態に追い込まれるまで、おそらく何もできないでしょう。一般国民としては一日も早く財政破たんの日が来ることを願った方が良いのかもしれません。