Googleの選挙ページを見て考えた

Google参議院選挙のページを作成し公開しました。
http://www.google.com/appserve/senkyo2010/
Googleが満を持して公開した選挙サイトなので、じっくり観察してみました。


このページでは、Googleらしく候補者がどれくらい検索されているかがわかります。検索数=知名度=注目度ですので、おそらく検索数の多い候補者が無難に当選する可能性が高いのでしょう*1
これまでは、新聞・テレビメディアは、投票日一週間前に最後の世論調査をしていましたが、それ以降は調査を自粛していました。ほとんどの選挙区では世論調査通りの結果が出るのですが、激戦区では力の入れ方によっては逆転することもありました。
それが、Googleの選挙サイトでは、毎日、どの程度検索されたのかが一目瞭然なのです。おそらく投票日にも見ることができるでしょう。今後、選挙をやっている人たちにとっては、テコ入れ先を決める上で最も注目すべきデータのひとつになるのではないかと思います。
選挙権を行使する一般人にとっても面白いデータだと思います。例えば民主党支持者で民主党の候補を2名当選させたいと考えている人は検索数の低い候補に投票することができます。検索数が低い人は当選しない可能性が高いので、当選しないであろう候補者に投票することを避けることもできるでしょう。


ただし、Googleの選挙ページは今回が初めてですので、また良く分からないところもあります。検索数と投票数の間にどの程度のずれが生じるのか注視したいところです。


他方で問題もあります。Googleの選挙サイトは数値が前面に出ている一方で、政策があまり見えてこないです。候補者によるネットの更新が自粛されているので当然といえば当然で、Googleには全く責任はないのですが、それにしても馬鹿げた話です。政治に興味を持った人が候補者の政策や情報を正確に得られるようにしなければ、選挙はただの人気投票になってしまいます。これでは、ちっとも公正・公平な選挙が実現されているとは思えません。総務省の役人は何を考えているのでしょうか。


さらに、もう少しGoogleの選挙サイトを良く見てみると、候補者がツイートしている例を見かけます。「○月○日○時に菅首相が○○で演説します。」「○月○日○○駅前。天気は晴れ。」などと微妙なツイートをしている候補者もいます。応援している衆議員が「これから○○県に行きます。○○駅前、○時頃です。」などとツイートしている場合もあります。
候補者や応援している議員は、現実にはなし崩し的にインターネットを選挙運動に使っていることが分かるのですが、肝心の政策や主張だけは全く流れてきません。これでは、選挙カーから名前を連呼する昔の選挙運動と何も変わりません。例えば、この候補者は消費税に賛成なのか、反対なのか、判断しようにもできません。せっかく争点が明確な選挙なのに、これでは投票に反映されません。


議員の皆さん、馬鹿な解釈を維持し続けている総務省の役人をそろそろ本気でつるしあげたらいかがでしょうか。増税財政再建の話よりも、まず選挙で国民に対して自由に政策を訴えられる国にしてほしいと思います。

*1:ただ、一部の事件を起こした候補や泡沫候補は除きます。一部の泡沫候補に注目が集まるのはネット文化の特徴です。逆に組織票で当選する共産党公明党の候補は検索数が集まりにくいかもしれません。現職候補も検索されにくい傾向にあるように思います。検索数と得票数のずれについては選挙後に検証した方が良いでしょう。