やっぱり菅直人内閣は短命だろう

菅直人内閣が成立する直前に「菅直人ってどんな人」というエントリーで菅内閣は短命だろうと予想しました。
その後、菅内閣は発足直後は非常に高い支持率をつけましたが、消費税増税発言以降、風向きがガラッと変わり、支持率は大幅に下落しました。政治評論家も、はやくも菅内閣に疑問を持ち始めているようです。


その中で、ふたつの記事の内容が一致していることが目に留まりました。簡単に言うと「消費税の話をすれば政権は持たない」という常識を菅首相はわかっていないのではないかということです。


ひとつめの記事は田原総一郎氏の「民主党は消費税増税の理由を誠実に説明せよ」です。記事は消費税に関する部分と国会会期に関する部分がありますが、ここでは消費税に関する部分から一部を抜粋してみます。

 消費税の問題に戻ろう。民主党はずっと野党であったため、消費税の怖さがわかっていなかったのではないか、と私は思う。
 消費税の導入は1989年4月のことで、竹下登首相のとき。その直後の89年7月の参院選自民党は負けた。そして、97年4月に消費税を3%から5%に増税したのは橋本龍太郎首相で、これも98年7月の参院選で負けた。それ以後、自民党は「消費税を上げれば選挙に負ける」「首相の生命が絶たれる」と非常に怖がって、ついに消費税増税ができなかった。

 消費税を上げる前に、いかにムダを削減していくのか。なぜ消費税を上げなくてはならないのか。そうした説明をもっと一生懸命にやらないと、民主党の支持率はもっと落ちるだろう。

田原氏はこのように書いて、菅首相の判断の甘さを指摘し、消費税増税発言の選挙への影響が大きくないと言う点を指摘しています。ただ、田原氏は消費税の増税はやむを得ないと考えているので、文章はかなり菅首相に配慮した内容になっているように思います。


もうひとつの記事は田中秀征氏の「 菅首相は世論が読めていない?『消費税10%』発言に含まれた3つの問題点 」です。

 新聞報道によると、菅氏は財務相当時、鳩山首相に、消費税の税率アップを打ち出せば選挙に勝てると進言したという。
 もしも彼が本当にそう信じていたとしたら、世論を読めないことになる。首相として致命的な欠陥を持っていると言われて仕方がない。

 思いがけない菅発言によって、今回の参院選では消費税増税が大きな争点となりそうだ。菅政権は今さら発言を撤回するわけにはいかないから、弁明に終始することになるだろう。民主党政権に期待した人たちの失望感は大きい。

田中氏の指摘は民主党に近い立場からの批判として重要です。ポイントは、菅首相が世論を読めない人だという指摘です。政権運営は政局を読みながら綱渡りを強いられるものですから世論を読めない人には難しいでしょう。小泉純一郎中曽根康弘は、いろいろ批判はあっても世論を読む能力だけは神がかり的でした。菅首相にはそれがありません。これは首相としては「致命的な欠陥」でしょう。


民主党の主な支持基盤は労働組合ですし、民主党が躍進したのは無党派層民主党に期待したからです。民主党を支持している労働組合の組合員や無党派層はほとんどが都市部に暮らすサラリーマンです。所得税の累進性強化、法人税増税とセットであればまた話は別だったかもしれませんが、消費税増税だけが独り歩きしてしまってはサラリーマン層の支持を得ることはできないでしょう。菅直人は支持者の顔さえ見ていないのです。田中氏も「民主党政権に期待した人たちの失望感は大きい」と指摘されていますが、まさに消費税増税の話はサラリーマンの期待を裏切る発言でした。


菅首相が総理に就任する直前は選挙前に消費税の話をするなど想像もしていなかったのですが、見事に予想を裏切ってくれました。就任早々に消費税増税という自爆スイッチを押したのでした。
歳出の削減も思うようにできず、公務員や国会議員の削減もできないのに、消費税の増税に政治生命をかけるなどという身勝手な総理大臣に国民の支持が集まる訳がありません。消費税を上げないと明言している国民新党みんなの党が躍進し、社民党共産党が微増、逆に民主党自民党は共に議席を減らすのではないかと思います。


実は、菅首相は、今頃になって消費税増税を言ったことの意味を理解したのかもしれません。改選議席数を割っても辞任しないと今から明言しています。すでに負けることを前提にしているかのようです。しかし既に時遅しです。選挙管理内閣の総理大臣が選挙に負けて政権を続けられる訳がありません。


日本という国は、政治家が考えているよりも民主主義がきちんと機能している国です。国民は要所要所で正しい判断をしています。政治家には国民に対する誠実さが求められます。
簡単に消費税増税などと言い出した菅首相には国民に対する誠実さが欠けています。やはり菅内閣は短命だと言わざるを得ません。